この記事ではフルタイムでほぼ座ったままで働くYさんの下半身太り解消法を書きます。Yさんの下半身太りは、ぜい肉がついてしまったというよりも骨格の歪みから来ている印象がありました。下半身太りは食事を制限しただけでは効果がありません。細かいトレーニングを組み立てる必要がありました。
Yさんの下半身太りの原因
Yさんのからだの使い方から下半身太りの原因を考察しました。
Yさんは30代前半で、正社員で都内商社にお勤めです。時々残業があるものの、週末は休めています。
お父様、お母様と3人でお住まいです。5歳からバレエを始め、大学では社交ダンス部に所属し、毎日練習をされました。
社会人になって運動量が減ると、だんだんと下半身が大きくなって、はけていたズボンがはけなくなり、ファッションに制限が出てきました。着たい服が着れなくなり、ショックな反面、どこから手をつけたらいいのかわからなかったそうです。
食事の量を減らしたり、筋肉トレーニングをしてみたものの変化はなかったそう。
神経が細やかで、落ち込みや考え込むクセがあります。お腹もよく壊し、寝違いもよくあります。社会人になってから、太ももが気になり、相談にきてくださいました。
Yさんの場合、考えられるのは下記のことでした。
- 足首がかたく、重心が前になり、太ももを頼りに体をささえている
- 小さい頃からバレエのトゥシューズをはいていたので、足指を使うのが苦手。結果、太ももの後ろを使えず、前ばかりが発達する。
- バレエの歩き方の癖で、親指を外に開いて歩くので、太ももの外側が発達する
- 柔軟性は高いが、内腿を使って動作するのが苦手
この考察を元にトレーニングを組み立てました。
Yさんのための下半身トレーニング
下半身を細くしたいとき、いきなり筋肉トレーニングトレーニングをすることはおススメできません。太くなるのは、普段のからだの使い方から、使うべき箇所(内ももや太もも裏)が使えず、脂肪がついてしまうからです。
食事制限で脂肪を減らそうとしたり、筋肉トレーニングで引き締めるだけでは不十分で、施策をやめた途端にまた元に戻ってしまいます。
筋肉のどこが使えていないか?どこを使いすぎているか?なぜそうなっているか?を考えないと下半身太りは変わりません。
太ももを柔らかくする
Yさんの場合、太ももの筋肉を柔らかくすることに集中していただきました。長年、太ももの外側を頼って立ったり、歩いたりしてきたので、硬さがかなりありました。
ストレッチポールを太ももにあて、回転させながら上下に動きます。筋肉の繊維をバラバラにします。最初は筋繊維が固まっている箇所は痛く感じます。筋繊維がほぐれると痛みはとれ、足が軽く感じます。
外側が一番硬いですが、内ももや太ももの裏もほぐします。
ふくらはぎを緩める
Yさんは足首が硬く、足指も使いづらい状態でした。足先の硬さにつられてふくらはぎも硬くなり、ふくらはぎが硬くなると太ももも硬くなります。
ふくらはぎにボールをあててゴロゴロします。膝の裏、真ん中、左右と当てる場所を変えることによってまんべんなく緩みます。
床や椅子に座った状態で、片方の膝がしらを使って、もう片方を緩めることもできるのでいつでも気が付いたら緩めていただくよう指導しました。
足指を動かす
小さい頃からしていたバレエのシューズを履いていた影響で、Yさんは足指の使い方が苦手です。足指が使えて、歩くときに床を蹴ることによって、太ももの裏を使って歩くことができます。
足指が使えないと、ペタペタと歩き、太ももの前を使って体を前に進ませようとします。下半身が太くなる大きな原因となります。
足裏をボールに乗せてぎゅっと握ったり、ぱーと広げます。この時、足裏がだるく感じることがポイントです。だるいということは、足裏を使っているからです。
足指の1本1本も動かします。ぐるぐる回したり、横に引っ張ったり。水かきの部分を十分に動かすことがポイントです。
足首を調整する
Yさんの足首は硬くてしゃがむこともできないくらいでした。足首が硬いことで歩くときに太ももの前を使います。
また、歩くときにバレエの癖でがに股で歩くクセがついていました。がに股で歩くと太ももの外側ばかりを使ってしまいます。この時足首も外向きになっているので、まっすぐに向けられるよう調整します。
内と外くるぶしから親指を這わせて、真ん中にへこんでいる箇所があるので、そこを押さえながら膝を前に倒し、親指にあたっている骨を奥に押し込みます。
こうすることで足首が調整され、歩くときに足首を使って歩けるようになります。
膝下を修正する
足指、足首を使うことが苦手な方はひざ下が曲がっています。体重が外にばかりかかってしまうので、それに合わせて湾曲してしまいます。Kさんにも強い湾曲がありました。
両手で膝上をもって足首だけ内側に倒します。このとき、膝が内側に向かないことに注意します。膝の向きを確認したらかかとを前に滑らせ、膝が伸びたら引き寄せを繰り返します。だんだん、内ももを使っている感じがすればOKです。
ひざ下が整うとおどろくほど足が軽く感じます。骨の構造は積み木になっているので、正しく積み上げればそれだけからだへの負担が減り、余計な箇所を使わないので、ぜい肉も付きにくくなるのです。
内腿を強化する
足先が整ったら、次は内ももを使う練習をします。Kさんも内ももを使って立つことが苦手でした。正しく立つには、内もも、太もも後ろ、お尻の3点をバランスよく使うことが必要です。
膝を閉じて立ち、膝を軽く曲げます。それから、膝が離れないように膝を伸ばしていきます。10回くらい続けると内ももとお尻に効いてきます。
このエクササイズをした後は、内ももを使って立てていることを実感できます。何度も繰り返して、外側ばかりを使わないようにからだを再教育していきます。
内ももとお尻を使って歩けるように練習する
それぞれのパーツを修正したら、最後はすべてを使って歩く練習です。各パーツを繋げて使えるようになって初めてからだが変わります。
正しく歩けるようになると、特別なトレーニングをしなくても日常生活の中で十分な筋力を保持することができますし、特定の箇所だけに贅肉がつくことがなくなります。
日常生活から太りにくい体をつくる
トレーニングの実施と同時に普段の姿勢が重要です。どんなにトレーニングを頑張っても、日常生活での何気ない時間が圧倒的に長いからです。
椅子に正しく座る
オフィスワーカーのYさんに最も気を付けていただきたいのは、座り姿勢です。一日のうちの長い時間を過ごす姿勢なので、座り方ひとつでからだが辛くも楽にもなります。
椅子の高さを調節して、足裏は両方とも床にぴったりとつけて、浮きがないようにします。膝の角度は90度です。お尻は左右が同じ重さでつくようにします。腰を反らないように背もたれに真っすぐ座ります。肋骨が前に出ないように、骨盤と肋骨の角度を同じにします。
長時間同じ姿勢をとることは、どんなに正しい姿勢でも疲れますが、この姿勢でいることで疲れがたまりにくくなります。
トイレにいくたびにストレッチする
どんなに忙しくてもトイレに行く時間はあるので、ストレッチの時間に充ててもらいました。足の付け根を伸ばすストレッチを1分やるだけでリンパの流れがよくなり、足が軽くなります。
片足を後ろに引き、骨盤の傾きをただします。骨盤を少し後ろに倒すようにすると足の付け根が伸びます。ここは、リンパの流れの大元なので、ストレッチすると老廃物が流れ、むくみを緩和します。
まとめ
Yさんの下半身太り解消のために、太ももを緩め、ふくらはぎを柔らかくし、足指、足首、膝下を丁寧に修正しました。加えて、内ももを強化し、使って歩けるようにトレーニングしました。
日常生活の中でも、座り姿勢はかなり気を付けて、トイレでのストレッチも欠かしませんでした。
1年たつ頃には、以前はけなかった細身のパンツがはけるようになり、ファッションの制限がなくなったと喜んでおられます。
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