からだの不調

バイオリン奏者の腰痛解消は「お腹力」にあり!

からだの不調

この記事ではWさんが酷い腰痛をやわらげた方法をお伝えします。オーケストラでバイオリンの演奏をされていて、休みのたびに整体やマッサージに通いながら、いつまたぎっくり腰にならないか?とびくびくしながら生活をされてきました。

Wさんの腰痛の原因

Wさんは4歳からバイオリンを始め、そのままバイオリン演奏のプロになられました。演奏家のお仕事は国内外への移動あり、オペラとなると5時間も座ったまま。しかも、就業時間は不規則で、演奏は夜になることも。聴衆を前に緊張もするのでかなりの重労働です。

同僚との会話は「どこの整体がよかったか?」になるほど、周りも腰や肩が痛い方ばかり。どこにいっても辛さは変わらず、整体ジプシーを繰りかえしていました。

一番ひどい時期は、座骨神経痛でお尻から足がしびれ、演奏が終わって立ち上がるときに椅子に頼らないと立ち上がれないほどでした。飛行機に乗るのはさらに怖く、もう長距離の海外旅行はいけないのでは?と半ばあきらめていました。

Wさんは運動経験がなく、お尻やハムストリングスの筋肉が少なく、演奏中に腰を反って体を支える癖があるので、お腹には力が入りにくく、アウターマッスルでからだを支えていました。

また、足の小指の着地がしづらく、常に体重を外ももで支えてしまい、足の筋肉が硬くなっていて、左右のバランスが崩れているので、右側に体重がかかりやすくなっていました。

Wさんのための腰痛を和らげるエクササイズ

Wさんの課題は、演奏時に腰を反って座るクセがあるので、まずは仙骨を緩めて、腰を丸める動きをからだに覚えてもらうことからスタートしました。

腰が痛い方は仙骨の周りが硬く、左右でコリの差があります。仙骨周りの筋肉と腰の筋肉はつながっているので、仙骨を調整するとラクになります。

仙骨を緩める

ストレッチポールやバスタオルを丸めたものの上に乗り、片足を抱えます。1分くらいしたら足を入れ替えて交互に繰り返します。この動きをした後、立ち上がると、腰に負担なく立てます。

腰を丸める

腰が痛い方は丸める動作が苦手です。背中に丸みを作るときは、肩や首に力が入らないようにします。下腹とおへそより上のお腹では使い方が変わります。

正座になり、両肘をついて、息を吐きながら、下腹で仙骨を押し出すようにします。おへそより上のお腹では、息を吐きながら腰を押し広げるようにします。

この動作をすることで、力まず背中を丸めることができるようになります。背中が丸まりやすくなることで、腰の一か所だけでからだを支えることがなくなり、ラクになります。

ろっ骨を動かす

腰痛がある方はろっ骨を動かすことも苦手です。本来は、歩くときに肋骨を小さく捻りながら推進力を使って前に進みます。肋骨が動きにくいことで、歩くときに腰でからだを前に進めようとするので、負担になります。

胡坐の姿勢から、骨盤が動かないように固定して、肋骨だけを捻ります。左右で何度か繰り返すうちにスムーズに動くようになります。上半身が軽く感じます。

背中を柔軟に

背中の柔らかさは、肋骨の柔らかさにつながるので、緩めておきたい箇所です。四つ這いから片手をくぐらせ、もう片方は上にあげて後ろに引きます。

日常生活で、背中を後ろに捻る動作はほとんどないので、積極的に取り入れたいトレーニングです。背中が動けば動くほど、腰はラクになります。

 

お腹運動

Wさんはお腹の使い方が苦手で、立つときも座るときも腰を頼ってしまいます。お腹のトレーニングは背中が柔らかいと辛くなくできます。背中を柔らかくするトレーニングをした後でお腹の運動をします。

座った姿勢から、手は前ならえで出来るだけゆっくりと後ろに倒れていきます。このとき腰を丸めるようにして、背骨の一つ一つを床につけるようにします。負荷の高いトレーニングですが、腰を守るためには必須です。

お腹の斜めを使う

お腹は4枚の筋肉からなっていて(腹直筋、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋)それぞれを強化することで、体幹が安定し、腰への負担が軽くなります。

仰向けから両手は床について、膝を90度にあげます。腰を反らないように注意しながら、ゆっくりと両膝を片方に倒します。膝がずれないように動かすと、お腹の横に効いてきます。

ハムストリングスを鍛える

ハムストリングスを鍛えることによって、お尻でからだを支えるので、腰へ負担がぐっと減ります。

仰向けからかかととお尻の間を十分に空けて、両足裏をしっかりつけ、お尻をあげます。太ももの後ろがつりそうになるくらい力が入れば十分です。

このトレーニングの後、立ち上がるとお尻でからだを支えているのがよくわかります。腰の辛さがなく、立てていることを体感できます。

足指運動

Wさんの足指の使い方には特徴があって、右の小指が浮きがちになります。足指がしっかりと着地しないとからだがぐらぐらします。例えるなら、椅子の足が1本短いとぐらぐらするというイメージです。

Wこのさんの小指は腰に影響していると考察し、足指のトレーニングをしてもらいました。親指と小指を交互に床に押し付けます。最初はうまくできず、足の甲が斜めになっていましたが、次第にできる様になりました。

Wさんに気を付けてほしい生活習慣

Wさんはおからだへの注意力がすばらしく、些細なことも気づき、実行できる方なので、日常生活での注意点もこまかく伝えました。

腰を反らないで立つ

腰の具合が悪い方は、かなりの割合で、腰を反って立ちます。これは、お腹に力がはいらないからです。お腹を上に引き上げるように気をつけていただきました。

控えの合間にストレッチ

演奏の本番前や合間にストレッチをしていただきました。こまめにからだを動かすことで腰への負担がぐんと減ります。

電車待ちでお腹引き上げる

Wさんにはいつもお腹を使うことを意識してほしいので、電車待ち、乗っているときにお腹を上に引き上げるようにしていただきました。腰が痛くなるのは、お腹の力が抜けたときなので、お腹を使って立てているか?は常に意識するよう指導しました。

 

まとめ

基本的な考え方は、腰の痛みをとるというよりも、腰に負担をかけないように周りの筋肉を整えます。

Wさんの場合は、

  • 仙骨緩める
  • 腰を丸める
  • ろっ骨を動かす
  • 背中を柔軟にする
  • お腹の運動
  • お腹を斜めに使う運動
  • ハムストを強化

することで、腰への負担が減りました。

トレーニングと並行して、日常生活でも

  • 腰を反らないで立つ
  • 控えの合間にストレッチ
  • 電車待ちでお腹を引き上げる

ことを習慣にしていただくことでトレーニングの効果が持続するようになりました。

真摯に取り組まれたWさんは、今では長時間のフライトも怖がらず、大好きなパリに何度も行くほどです。長時間の演奏後も腰痛にならず、すっと椅子から立てています。

「ぎっくり腰の恐怖もなく、過ごせるなんて夢のようです。」と快適に過ごされています。

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