この記事では巻き肩でお悩みのEさんがきれいな肩になるまでの記録を書きます。Eさんはとても華奢な肩で骨の位置がぱっと見でもわかるので、巻き肩で姿勢が悪く見えることを気にされていました。ファッションも大好きなので、もっときれいに洋服を着たい!と話してくださいました。
Eさんの巻き肩の原因
Eさんの姿勢とお話から巻き肩の原因を考察しました。
Eさんは正社員さんでメーカーにお勤めです。常に忙しい部署で終日机に向かっていることも。ご主人も同じ会社で二人で黙々と在宅でお仕事をされています。とても早起きなご夫婦で、プライベートレッスンの予約時間が朝の6時になることもあります。
まじめで几帳面な性格なので、レッスンでお伝えしたことを吸収されるのが早いです。リュウマチの持病をお持ちで筋肉量がとても少ないです。体力もあまりないので、重たいものを持ち上げたり、息が上がる運動では続かないと判断しました。エネルギーを使うよりも細かく筋肉のお手入れをする方向でエクササイズを続けることにしました。
姿勢や普段の動きから背中を使って胸を引き上げる動作が苦手です。背中の筋力不足も影響しています。筋力だけでなく、柔軟性も向上していくことで肩周りが使いやすくなります。胸を引き上げる力がバストアップにつながります。
背中を寄せる感覚も鈍いので、筋力アップとは別に肩甲骨の間を縮める感覚をいれることも重要だと判断しました。この感覚が鈍いとどんなに筋力がついても使えない状態になるので、注意が必要です。
Eさんの巻き肩を正しい位置にするエクササイズ
Eさんのエクササイズを決める際に、特別な道具を使わず、いつでもどこでもできる内容にしました。
指の間をもみほぐす
指の開き具合は、肩の正しい位置に大きく影響します。親指と人差し指の間が90度以上開くことが理想です。
指の間をもみほぐします。水かきの部分をもみながら1本ずつ丁寧に。指先まで筋膜でつながっているので、爪のわきまで伸ばすようにします。肩とは関係のないように見える細かな部分も筋膜を通じてつながっています。先端が緩むことで肩回りがぐんとラクになります。
肘下を捻る
Eさんは肘下のねじれがかなりあるので、修正が必要でした。
片手で腕をつかみ、腕の方をぐるぐると捻ります。パソコンや調理で肘下は捻れてしまい、ねじれが肩まで伝わってしまうので、こまめにお手入れします。
肩の付け根をまわす
肩の付け根の骨は球状になっていて、巻き肩になると内側に向いてしまいます。これを修正します。
手を出来るだけ遠くにのばし、指先もしっかり開いて肩の付け根を内、外と捻ります。ポイントは捻りきったそのさきにもうひと捻りすることです。肩の関節の隙間があいてスムーズに動かせるようになり、肩の向きも正しい位置に整ってきます。
胸を反らせる
肩回りの動きは、背中の上部(肋骨の後ろ)の柔らかさの影響を受けます。仰向けでみぞおちの後ろをストレッチポールにあてます。
腰から反らないようにおへそをお腹にしまったまま、肘を高く遠くにしながら背中をそらせます。こうすることで、胸の位置をあげながら、背骨が柔らかくなります。10回ほど繰り返して起き上がると上半身が軽く感じられます。
肩を回してみると、油をさしたようにくるくると回りやすくなっていることが確認できます。
肩甲骨を寄せながら胸を反らせる
最後に背中の柔軟性をあげて、胸の引き上げをしながら、肩甲骨を寄せていきます。四つ這いになって、頭とお尻を遠くに引き離すようにして、肩甲骨の間を縮めます。腕の力を使わないように意識します。
巻き肩の人はこの動作がとても苦手なので、いきなりこのエクササイズをするのではなく、指の間をほぐしたりと末端を緩めてから取り組むと、格段にやりやすくなります。
骨の位置を修正するには、いきなり筋肉トレーニングをやるよりも、細かい部分から取り組むと格段にやりやすくなります。
巻き肩を再発させないために気を付けること
在宅でパソコンに一日中向かうことの多いEさんには、1時間ごとに小休憩をとって、指導したエクササイズの1つでもいいのでやってもらうことにしました。
トイレに立つとき、お茶を飲むときなど意識をすれば5~6回は体を動かすことができます。辛いなと感じるときのほとんどは筋肉が固まってしまっているときなので、こまめに動くことが何よりのメンテナンスになります。
あとは、仕事中も胸の位置を高く保つことを指導しました。パソコンに夢中になっているときは、胸の向きが下を向いてしまいます。気が付いたら胸をあげる。これだけでバストが下がるのを防げます。
歩行時もカバンを肩にかけるとどうしても巻き肩に近くなってしまいます。このときも胸の位置を落とさないようにすると、肩の正しい位置をキープできます。リュックを背負うときは注意が必要です。両肩いっぺんに巻き肩になるからです。合言葉は「胸の位置を高くする」です。
まとめ
Eさんの巻き肩を元の位置に戻すエクササイズとして
- 指の間をもみほぐす
- 肘下を捻る
- 肩の付け根をまわす
- 胸を反らせる
- 肩甲骨を寄せながら胸を反らせる
を続けてもらいました。
日常生活で気をつけることとして、
- 仕事中にこまめにエクササイズをする
- 胸の位置は常に高く保つ
を実践していただくことで、巻き肩からきれいな肩回りに変化し、「同じ洋服を着ても違って見えるくらいです。肩でこんなに印象が変わってうれしいです!」との報告がありました。
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