ジュエリー

海外旅行とジュエリーの持ち歩きルール|知っておかないと危ない話

旅先でもおしゃれを楽しみたい。その気持ちはとてもよく分かります。特に海外旅行ともなれば、写真映えやドレスアップの機会も増えますよね。

でも実は、ジュエリーの持ち歩きには知らないと損するリスクがたくさんあるのです。

宝石鑑定士として20年以上、お客様から実際にあったトラブルや相談を受けてきた私が、「これは知っておいてほしい!」と感じた持ち歩きルールを実例とともにお伝えします。

海外旅行で起こりやすいジュエリートラブル3選と対策

非日常の空間には予想外の落とし穴も潜んでいます。ここでは、実際のトラブル事例と、プロ目線での解決策をセットでご紹介します。

■ケース①:フランスで紛失したダイヤのピアス(50代女性・Yさん)

芸術が大好きなYさんは、パリへの念願の一人旅に出かけました。

旅の記念と気分を高めるために、結婚10周年で夫から贈られた0.3カラットのダイヤピアスを着用していたそうです。

「ルーブル美術館のトイレで、ふと鏡を見たら右耳のピアスがなくて、一瞬、血の気が引きました」

Yさんが使用していたのは、市販の柔らかいシリコンキャッチ。

金属アレルギーがあるため、普段から愛用していたものでしたが、フライトによる気圧の変化や乾燥、着脱時の摩擦などが重なり、知らぬ間に外れてしまったと考えられます。

プロの解説: 海外旅行では絶対に落ちない構造のピアスキャッチを選ぶのが鉄則です。

ロック機能付きやネジ式など、外れにくさを重視した設計のものを使用するのが理想。

また、万一に備えて予備のキャッチや簡易ピルケースを持ち歩くと安心です。

■ケース②:ドバイ空港で高額リングを紛失(60代男性・Kさん)

海外事業を担当するKさんは、ドバイ経由で欧州の取引先へ出張する際、空港で大切なリングを紛失しました。

「セキュリティチェックで金属探知機に引っかかるのが嫌で、慌ててポケットに入れたつもりだったんです」

実際は、プラスチックのトレイに一時的に置いたまま忘れてしまい、そのまま保安エリアを通過してしまったとのこと。

紛失したリングは、会社創業30周年を記念して自身でオーダーしたプラチナ製のカスタムジュエリーで、刻印や石留めも細部にまでこだわった一点物。

空港への問い合わせもむなしく、結局発見されませんでした。

→ プロの解説: 空港の保安検査場は、忘れ物・置き忘れの“ホットスポット”。

ジュエリーは必ずハードケースに入れ、手荷物に収納することが鉄則です。

焦りや油断がミスを招きやすいため、搭乗直前ではなく余裕のあるタイミングで事前に収納しておく習慣を持ちましょう。

■ケース③:ローマのホテルでネックレス盗難被害(70代女性・Hさん)

イタリア旅行を楽しんでいたHさんは、ホテルの部屋でネックレスを盗まれるというショックな経験をしました。

「娘の結婚式に着けるつもりだった思い出のネックレスをホテルのセーフティーボックスに入れておいたのに、部屋に戻ったら空っぽで…信じられませんでした」

そのホテルのセーフティーボックスは、後から調べたところマスターパスワードでホテルスタッフも開けられる仕組みだったとのこと。

現地警察への届け出やホテル側との交渉を試みたものの、盗難の証明が難しく補償は受けられませんでした。

→ プロの解説: 高価なジュエリーは、そもそも旅行に持っていかないのが原則。

どうしても必要な場合は、旅行保険の「携行品補償」がジュエリー対象かを必ず事前に確認しましょう。

また、セーフティーボックスに頼りきらず、フロント預かりや高級ホテルのコンシェルジュ経由の管理を選択するのもひとつの手段です。

ジュエリーを安全に持ち歩くための5つのルール

旅行先でジュエリーを安心して楽しむためには、ちょっとした工夫と準備が欠かせません。

ここでは、宝石鑑定士としての視点から、現地で「後悔しない」ための持ち歩きルールを5つに絞ってご紹介します。

① ハードケース+ジップ袋の二重保護を

ジュエリーは繊細な装飾品です。移動中は思わぬ振動や衝撃、湿気でダメージを受けることもあります。

専用のハードケースは必須アイテム。その中に個別にジップ袋で小分けにすることで、チェーンの絡まりや石同士の擦れ、湿気によるくもりなどを防ぎます。

シリカゲルを入れておくと、湿気対策にも◎。

② つける予定のないジュエリーは持っていかない

「念のため」「使うかも」と多めに持って行くのはNG。数が増えると保管や管理が雑になり、紛失や置き忘れのリスクが高まります。

コーディネートに合わせて厳選した1〜2点に絞るのが理想です。

複数持ちたい場合は、日数やシーンに応じて“使う日を決めておく”のもおすすめです。

③ 機内持ち込みが原則

ジュエリーは必ず機内持ち込みの手荷物に。預け荷物に入れると、紛失・盗難・荷物破損など、あらゆるトラブルの可能性があります。

特に乗り継ぎがある場合や海外の空港では、スーツケースの開封被害も報告されています。

大切なジュエリーは常に手元にある状態を保ちましょう。

④ 保険をかける(海外旅行保険+個人所有物保険)

高額なジュエリーを海外に持ち出す際は、必ず保険の確認を。

多くの海外旅行保険では「携行品補償」が含まれていますが、ジュエリーは対象外の場合もあるため要注意です。

心配な方は、別途個人所有物保険や高額品用のオプションを検討しましょう。証明書や写真を保管しておくと、万一の時に役立ちます。

⑤ 見せびらかさない=最大の防犯

SNSで「今ここにいます+このジュエリー」と発信するのは、防犯上もっともリスクが高い行動です。

旅先での着用中も、人混みやスリが多いエリアでは外すなど、状況に応じた判断が必要。

華美なジュエリーを控えるだけでなく、見せ方やタイミングにも注意しましょう。

プロがすすめる、旅に向いているジュエリーとは?

旅行中でも安心して使えるジュエリーには共通の特徴があります。以下は、鑑定士として旅先でおすすめしたいアイテムの選び方です。

■地金メイン(石なし)のデザイン

ダイヤやカラーストーンがついていない、地金(ゴールド・シルバー・プラチナ)だけのジュエリーは壊れにくく、旅行中も扱いやすいアイテムです。

表面の凹凸や突起が少ないタイプなら、引っかかりや破損の心配も減ります。

■シンプルなパールピアスやイヤーカフ

どんな服装にもなじみ、写真映えもするパール系のピアスや、耳に沿わせるタイプのイヤーカフは、旅先でもきちんと感を演出してくれる便利アイテム。

1つあるだけでコーディネートが整います。

■金属アレルギー対応素材(チタン・ステンレス)

 

気温や湿度の変化が大きい旅先では、金属アレルギー対策も大切。チタンや医療用ステンレスなど、肌に優しい素材で作られたジュエリーは、長時間つけてもストレスが少なく快適です。

また、万一紛失しても精神的ダメージが少ない旅専用ジュエリーを持っておくのもおすすめ。

デザイン性がありながら手頃な価格のものを用意しておくと、安心して旅を楽しめます。

まとめ|「大切なジュエリーは旅の仲間にする前に準備を」

旅は楽しいもの。けれど、その陰に潜むリスクを甘く見てはいけません。

大切な人から贈られたもの

自分の節目で手に入れた宝物

一生に一度の記念

そんなジュエリーこそ、「持っていくか、留守番させるか」の判断がとても大事です。

どうしても旅に連れて行きたいなら、それなりの備えと注意が必要。

ジュエリーは、あなたの人生を彩る大切な存在。

だからこそ、守る工夫も一緒に身につけていきましょう。

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