離陸からわずか5分。日常の延長にあったはずのフライトは、260人以上の命を飲み込み、黒煙の中へと消えた。
2025年6月12日、午後1時38分。インド・アーメダバード国際空港を離陸したエア・インディアAI171便は、ロンドンへ向かう長距離便だった。搭乗者242名。乗客230人、乗務員12人。彼らの誰もが、まさかその空が“最後の空”になるとは思っていなかっただろう。
🟥【速報】
インドでボーイング787が墜落。乗客242人中ほぼ全員が死亡。
“最も安全な旅客機”と呼ばれた機体で初の致命的事故。📹映像には異常なし。だが、**「何も動かない」**と訴える乗客の投稿が事故数時間前に。
日本は同型機を139機運用中。… pic.twitter.com/9ya4gi30fa
— Jose N. | Freiheit & Wahrheit (@JoseN1426871) June 12, 2025
エア・インディアのボーイング787型機
離陸直後に墜落😱🦁インドは恐ろしい。。。pic.twitter.com/fALL811GjH
— Masa (@masanews3) June 12, 2025
離陸からわずか数分後、機体は住宅地と医科大学の寮に墜落。現地時間でたった5分間。人間の命を奪うには、それで十分だった。
何が起きたのか――記録と証言
墜落したAI171便の機体はボーイング787-8 ドリームライナー。事故当時、機体はフラップ異常・着陸装置未格納のまま上昇を試みていた可能性が高い。離陸直後のメーデー発信。1分以内のレーダー消失。そのすべてが、危機がすでに始まっていたことを示している。
墜落現場は、BJ医科大学の学生寮および周辺の住宅街。炎上し、黒煙が空を覆い、学生や住民も巻き込まれた。
■ 目撃証言と現場の様子
機体は機首を上げたまま高度を下げ, 翼が揺れながら大学の建物に衝突して爆発。学生100人以上が食堂におり、多数が犠牲に。建物には現在も機体の残骸が突き刺さったまま。
唯一の生存者、語る
■ 生存者の証言
唯一の生存者:英国籍のビシュワシュ・クマール・ラメシュさん(40)
エア・インディア社のインド発ロンドン行き飛行機が離陸直後墜落
↓
乗客252人中251人死亡
↓
イギリス人男性 Vishwash Kumar Ramesh(40)氏のみ唯一生存
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しかもみずから救急車に乗り込める程度の軽傷&座っていた席は最も安全と言われる最後部の席ではなく前方席
まさに奇跡の生存者だと話題に… pic.twitter.com/IVn70iB1MD— 滝沢ガレソ (@tkzwgrs) June 13, 2025
非常口近く「11A列」に座っていた。非常口付近から脱出したという。全身火傷と複数の骨折を負いながらも、搬送先の病院で意識を取り戻した。
エアインディアのA11に座っていたインド系イギリス人Ramesh Vishwaskumar さん、足に怪我だけで生還し、墜落した飛行機からスタスタ歩いて移動。非常口から飛び降りたらしい
なんという奇跡。まるでレインボーマンの様だ…
— May_Roma めいろま 谷本真由美 (@May_Roma) June 12, 2025
インドの✈️墜落で唯一助かった人が乗ってた席はこちらです。確かにめっちゃ助かりそうな場所やな。 pic.twitter.com/w2QpsBirfW
— マゼラン (@fun00555129) June 14, 2025
「離陸30秒後、大きな音がして墜落。全てが一瞬だった」と証言。助かった理由は明確ではない。「叫び声が、機体中に響いていました。煙が回ってきて、誰がどこにいるかもわからなかった。乗務員の声は、聞こえなかった。」
6月14日時点の原因究明と身元確認の進捗
インド政府は軍・警察・航空局による合同調査委員会を設置。調査結果は3か月以内に報告予定。
回収されたブラックボックス(飛行記録装置)からの解析が進行中。
調査の焦点は以下の3点:
両翼のエンジンの状態
フラップ(高揚力装置)などの機体制御システム
なんか「日本が悪い」に持っていきたさげだが、エア・インディアの日頃のメンテが結構いい加減だったみたいで…。事故原因に直接関係あるのかは知らんけど。
インドで墜落のボーイング機、世界で1100機運航 日本が部品3割担う – 日本経済新聞 https://t.co/mnfp1FvcL3
— Shuta-H (@h_shuta) June 13, 2025
人的ミスや天候の影響など
インドの一部メディアでは、AI171便の墜落について「パイロットの人為的ミス」が原因ではないかと報じています。しかし、機長・副操縦士ともに国際線に慣れた乗員であり、離陸前の設定ミスがあれば、フラップや推力に関しては警報が作動するよう設計されています。… pic.twitter.com/8AuorSNt3V
— Toru👨✈️国際線パイロット (@ToruMasukawa) June 13, 2025
■ 身元確認と今後の課題
遺体損傷が激しく、DNA鑑定に時間がかかっている。今後は技術的要因とともに、設計上の欠陥・操縦対応の妥当性・空港の管理体制などが問われる可能性もある。
失われた命に国境はない
今回の犠牲者は、インド169人、英国53人、ポルトガル7人、カナダ1人。地上でも学生や住民を含め、24名以上が命を落としたとされている。
政治的インパクトも大きい。グジャラート州元首相ヴィジェイ・ルパニ氏が搭乗していたことも、のちに明らかとなった。けれども、私たちが本当に向き合うべきは、名前のない一人ひとりの物語だ。
家族に会いに行こうとしていた人。研修に向かう途中だった学生。
ハネムーン帰りの若い夫婦。誰の人生も、途中で断ち切られていいはずがない。
それでも運航は続くのか
ボーイング787は、2011年の運用開始以来初めて、乗客の死者を出した。
航空業界にとっては大きな分岐点である。にもかかわらず、各国の対応は分かれている。運航停止を発表した国はまだない。
なぜこの機体が飛んでいたのか?
なぜ誰も止めなかったのか?
その疑問は、時間が経てば「風化」に飲み込まれる。
だが記者として、私はそれを許さない。
「不運だった」「整備ミスだった」で済ませてはいけない。
記者のことば
私は、何十件もの事故報道を追ってきた。だがこの事故には、胸が締めつけられるような怒りがある。
私たちは、安全神話に甘えていたのではないか。
見えない“予兆”を見て見ぬふりしていたのではないか。
そして、責任の所在を曖昧にしたまま、また同じ空を飛ばせてはいないか。
犠牲者に名前があるように、責任にも名があるべきだ。
文・構成:田嶋 大悟
(元週刊誌社会部記者/特集・長尺記事担当)

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